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品川区に建つ小さな住宅の計画である。
初めて敷地を訪れた際には100坪クラスの敷地が残り、緑豊かな環境を作り出していたのだが、ここもその他の地域と同様細分化の波が訪れ、街の様子が変わり始めている。
計画地を含めた3つの敷地は、設計施工が決定しているいわゆる”建築条件付きの土地”であり、デザイン監修という立場で、注文住宅を専門に扱うハウスメーカーの設計手法と施工スピードに倣いながら、汎用性と特殊性を持ち合わせた住宅のあり方を計画した。
通風、採光を考慮しつつ敷地いっぱいに建てられたボリュームに、クライアントの要望として付加されたインナーガレージ、テラスという外部空間となるスペースに着目し、それらを読み替えることで各階に外部空間をもつ立体的な町家のような構成とした。一見すると開口部の少ない外観ではあるが、各階に設けられた外部空間は、街の様々な場所を切り取ったり取り込んだりしながら内部と外部を程よい距離感で繋いでいる。
小さな住宅ではあるが、マスを扱うハウスメーカーと住宅に大きな夢を抱いたクライアントと、三位一体となった通常とは少し異なるプロジェクトであったが、住宅が竣工し街を見渡したときに改めてこのプロジェクトの社会的意義の大きさを感じた。